派遣社員とは


◆ところで『派遣社員』って何?

『派遣社員』…近頃、とても良く耳にすると思います。
「久しぶりぃ~!元気だった?ところで最近、どう?」
「ん~、今、派遣やっているのだけど、その派遣会社から紹介された職場で社員に決まってね…」
 こんな会話も日常に当たり前で存在するようになりました。

 私が『人材派遣』と出会ったのは今から5年ほど前の夏のことでした。私自身もまだまだ未熟な社会人でした。

 当時の私は、パチンコ店内で飲料を提供する業務(一般的にコーヒーワゴンサービスと呼ばれる)のマネージャーを任されました。1時間ほど離れたエリアでの2店舗の運営という状況下、就任早々、人材不足に悩まされました。毎週、求人広告を出してもスタッフは入らず、時給を上げてもどうにもなりませんでした。その影響で業務を運休する事がしばしば起きてしまい、出店先のパチンコ店から「サービスの低下に繋がるので休まれては困る!」とクレームをいただき、慌てて「何か手はないものか…」と探したところ、『人材派遣』というものに出会いました。そして、当時はまだまだ未発達なこの業界から賃金の高い人材を雇い、運営を行ったのでした…ちなみにこの店舗は、高い人件費の影響で失敗に終わりました…

 これが私と『人材派遣』の出会いです。これを機に私の耳は『人材派遣』という言葉を良く聞き取るようになりました。

 そんな私も、この5年間で様々な変化があって、今はなんと、まったく逆の立場の『派遣社員』として働いたりもしました。運命というのは、数奇なものですね(笑)

 これをご覧の貴方は、これから『派遣社員』になろうかな?と悩んでいるのではないかと思います。そこで、『派遣社員』を雇う側、『派遣社員』として雇われる側の両方を経験している私から、『派遣社員』のテクニックや知識をプレゼントしたいと思います。これを参考に、有意義な『派遣ライフ』を送って頂ければ光栄です。

 まず、基礎知識として『派遣会社』とは一体どのようなもので『派遣社員』とはどういったものなのかを雑学を交えながら説明しましょう。
 そもそも、『人材派遣』が誕生したのは1947年アメリカの企業が創めたという説や1920年アメリカでオペレーターの派遣が行われたのが最初だという説、いろいろな説がインターネット上でも飛び交っています。実際のところ、いつ誕生したのか分からないのではないかと思います。例えば、日本でも戦国時代に用心棒のグループから用心棒の紹介を受けて雇ったなど『人材派遣』と呼ばなかったにしても同様の行為は、昔から行われていたのですから、はっきりした誕生は分からないでしょう。日本で最初に『派遣会社』が設立したのは1966年だと言われているようです。1985年に『派遣法』が施行され、この業界は本格的な導入期になりました。現在では、その数は大小含めて数万社、数十万社に上る勢いで今日、発展を遂げるビッグマーケットです。
 このような状況下、専門的な分野で『派遣社員』というのは力を発揮してきました。しかし、近年では求人をかけるより早い、人材確保が楽などの理由から一般的な分野からもニーズが多くなり、多種多様な形態の『派遣会社』が誕生し、それに所属する『派遣社員』も急増化しました。

 『派遣社員』とは、自分が所属する会社ではなく、その所属する『派遣会社』の取引先の企業(クライアント)に出向し、業務依頼を受け、労働時間によって収入を得ます。勤務する先との雇用契約がなく、簡単に言いますと部外者であり、外部から業務支援を行っているという考え方で業務に従事する者を指します。また、『派遣会社』はこの『派遣社員』を派遣することで一定の仲介料を得ることで利益を上げていきます。これが一般的な『人材派遣』です。

人材派遣の仕組み

◆知っておかないと後悔する『人材派遣』の仕組み

 さて、『派遣社員』についてと雑学を学んだところで実際『派遣会社』の仕組みはどうなっているのでしょうか?

簡単に説明しますと契約者(登録者とも言う)の持つ個人財産(時間や労力)に付加価値をつけて販売を代理する事で利益を上げる企業ということです。

企業に就業すること自体、個人が自分の個人財産(時間や労力)を販売することによって給料を得ていると言えます。しかし、『人材派遣』の『派遣社員』と『社員』の違いは付加価値が付き、その販売を『派遣会社』が代行してくれるという点です。

まず、企業(クライアント)と『派遣会社』の間で雇用契約が結ばれ、指示等が伝達されます。そして、今度は『派遣会社』が私たち『派遣社員』と雇用契約を結び、企業からの指示等を伝達します。『派遣社員』は賃金を『派遣会社』からいただきます。『派遣会社』は企業(クライアント)からいただきます。ですから、企業(クライアント)と『派遣社員』の間では直接的な雇用契約関係はありません。

また、就職活動をする際の違いについては『社員』の場合、自分の経歴や経験、知識などを自分で相手に説明し、納得が得られた場合に契約となり、指示等も企業から直接もらいます。
しかし、『派遣社員』の場合は、『派遣会社』に登録する際に経歴等を説明しているため、勤務先が決定した場合はすでに納得してもらっている状態となります。ようするに勤務先に対してそこと懇意な第三者の知人から「私がこの人を保証します。」と一言付け加えてもらえる状態になるということです。

さらに付加価値が付きます。付加価値というのは、雇う側(クライアント)、雇われる側双方(『派遣社員』)に対して発生しています。
詳しく言いますと、企業(クライアント)側に対する付加価値というのは、自社で求人費用を掛けずに済むことや面接で一から説明しなくて済むこと、必要な時期に必要な人数を雇用できることなどがあります。
また、私たち雇われる『派遣社員』側に対する付加価値は、自分で勤務先を探さずに済むことや所属した派遣会社の信用性などを借りて就業できること、勤務先での交渉や不満の解決に立会ってくれることなどがあります。自分の経歴や経験、知識に自信がない場合、単身で就職活動を行うより遥かに就職率も上がります。

 しかし、そんな『派遣社員』も知名度の向上、市場の拡大と共に、今では『派遣会社』への入社にも、それなりにテクニックのいる時代になったといえるでしょう。『派遣社員』だから気軽だ、適当にやっていても良い、という時代は終わりに近付いています。そもそも賃金をいただくのですから、プロとしての自覚や責任感は持っていなければなりませんが…

 何となく『派遣社員』が気軽かな?と思っている貴方は、まずイメージと現実のギャップを埋めておくことが大切です。ですから、始める前にこの仕組みを良く理解し、『派遣社員』の良い部分、悪い部分を把握して、有効的に活用できる環境を作っておくのが『派遣ライフ』を快適に送る秘訣でしょう。

 基本的には、勤務先との直接雇用契約がないという点の理解と、所属する『派遣会社』の企業力を確認することが『派遣社員』にとって大切であり、またメリット、デメリットになります。

 どういう状況下に置かれたにせよ、依頼された業務を全うするということは『派遣社員』
であろうと、『社員』であろうと変わりありません。ですから、『派遣社員』なんだから、楽にお金が稼げるという誤解だけはしないようにしてください。楽をしたい場合は、それなりの理論武装をする努力が必要になります。

 私の予想では今後、直接雇用自体が減少していくのではないかと思います。これから社会に出る方や、今の企業に満足しておらず転職を考えている方は『人材派遣』は一度は通ることになると思いますので、私の情報がお役に立てば光栄です。

人材派遣の法律や制度

◆『人材派遣』に関する法律や制度

 続いてはちょっと難しくなりますが、派遣についての法律や制度についての説明をしたいと思います。この話題が一番難しいのではないかと思いますが…これを知っておかなければ、『派遣社員』のメリットを最大限に活かすこともできません。
 しかし、ちょっと面倒な方はこの話題は飛ばしても結構ですので、自分の読みたいように読んでください。

 さて、『人材派遣』というのは労働者派遣法、個人情報保護法などが大きく関わる法律となります。もちろん、職業安定法や労働基準法などの基礎的な法は関係していますがここでは『人材派遣』ならではの労働者派遣法と個人情報保護法についてざっと説明いたします。

 まず、労働者派遣法というのはどういったものなのかご説明いたします。そもそも、労働者派遣法は『派遣会社』と『派遣社員』が健全に運営、勤務できるようにするための法律であり、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」です。大まかな内容としては下記のような事項があります。

◆ 職業安定法と相まって労働力需給の適正な調整を図るため労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置を講ずる内容の表記をしています

◆ 派遣労働者の就業に関する条件の整備等を図ることによって、派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進に資することを目的としています

さらに2004年3月1日、この法律の改定が行われ、下記のような点が変更となりました。一部ご紹介いたします。

◆ 派遣受入期間の延長

◆ 派遣先の派遣労働者に対する直接雇用の義務

◆ 派遣対象業務の拡大

◆ 紹介予定派遣の見直し

などいった『派遣社員』がより働きやすい環境作りが進みました。これにより、『派遣会社』はさらに活性化、サービス競争が発生し、『派遣社員』の人数も一気に加速しました。『紹介派遣』の見直しと、直接雇用の義務などが見直されたことにより、『派遣社員』から社員になる可能性が上がったといえるでしょう。こういった法律の整備が行われるということはそれだけ、この業界は多き、今後の成長が見込める業界であることを示しています。

 続いて、個人情報保護法についてご紹介いたします。最近は、何をするにもこの法律の名前を聞くと思います。例えば、スーパーの会員カードを作るときも、インターネットで会員登録するときも、銀行で借り入れをする際も…しかし、これは何のために作られたもので、どのような場合に関わってくるのかは意外と理解できていないと思います。そもそも、個人情報保護法の目的というのは高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大しているため、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護するための法律です。そして定義は下記の通りです。

◆ 「個人情報」…生存する個人に関する情報(識別可能情報)

◆ 「個人情報データベース等」…個人情報を含む情報の集合物(検索が可能なもの。一定のマニュアル処理情報を含む)

◆ 「個人情報取扱事業者」…個人情報データベース等を事業の用に供している者(国、地方公共団体等のほか、取り扱う個人情報が少ない等の一定の者を除く)

◆ 「個人データ」…個人情報データベース等を構成する個人情報

◆ 「保有個人データ」…個人情報取扱事業者が開示、訂正等の権限を有する個人データ

上記のような内容を取り扱うことに対する法律であるということであり、その基本理念は個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであり、その適正な取扱いが図られなければならないというように表明されています。

 『派遣会社』というのは、『派遣社員』の個人情報を保有し、契約企業(クライアント)に紹介する業務もございますので、この法律にも関わりが深いことになります。特に第四章の個人情報取扱業者の義務等という部分に絡んでくるでしょう。

 しかし、法律というのは問題が起きたり、訴訟したりする場合以外は利用しません。さらに法律というのはいろいろな角度からの検証もあり、貴方の視点で「違反している」と言っても専門家からは「これは大丈夫です」といわれてしまうケースもあります。ですから、こういった法律に守られているという認識だけを持ち、万が一、これに当てはまる問題が生じてしまった場合には、市町村単位での法律相談を各地の弁護士がしておりますので、そちらに話を持ち込んで相談してみましょう。素人の浅はかな知識で法律をひけらかすと逆に足元をすくわれて状況が反対になってしまう場合もございますので、法律の取り扱いは注意してください。

長期と短期、求人広告の見極め方

長期派遣と短期派遣

◆『長期』?『短期』?って何のこと?

 『人材派遣』と言っても、さまざまな依頼状況があります。次はそれを説明しましょう。これを良く理解することによって、貴方の現在置かれる状況に応じた仕事選びがより有効的に行えるようになります。

 まず、『派遣社員』は先方の必要なニーズに応じて雇用されます。ですから、必要がなければ雇用する義務もありません。通常の企業というのは新入『社員』を取り続けなければなりません。なぜなら、人材育成というのも社会貢献の一つになり、大きい企業ほど、この条件を掲げなければならない部分もあるため、新入『社員』の募集を行います。しかし、この点を誤解してはいけないのが、新卒者を指すという点で、中途に対しての義務はかかっておりません。
そんな中、『派遣社員』であれば必要なければ募集を打ち切ったり、契約期間も社員より短めに設定できるというメリットが企業側にはあります。そのため、最近では自社で募集をかけずに派遣で募集をかけ、実際に使ってみてから『社員』を検討したいという考えの企業も増えてきています。

 そんな『派遣社員』の雇用状況にも大きく分けて2パターンあります。一つ目は『長期』と呼ばれる定置固定型の雇用です。こちらは『社員』として雇用されている状態に近く、安定収入が見込めます。もう一つは『短期』と呼ばれる一時的に業務に着任し、短い期間で契約満了となる2タイプです。このケースは時給額が高かったりします。さらに、その両方に『紹介派遣』の有無というのが関わりますので、全4パターンからなります。

 まず『長期』というのは、半年以上の長い期間同一の勤務地に就業することを指し、こちらは『人材派遣』の中でも安定した収入につながります。また、『紹介派遣』が多いのはこのタイプの『人材派遣』です。この場合は、その勤務地でのスキル向上も考えられるため、スキルアップを目指す人や安定収入、『社員』になる企業を探している人にオススメです。また、契約満了時に更新ができるのもこのタイプが多いです。

 続いて『短期』というのは、数日から半年未満の勤務期間のものを指し、ショッピングモールのオープニングスタッフなどイベント時に雇用されるケースの多いタイプです。収入金額が大きいこともありますが、期間が短く、エリアを絞ると勤務地がなくなる可能性があるのもこのタイプです。しかし、期間が短いため、飽きっぽい人や臨時に資金が必要な人にはとても重宝できる勤務方法だと思います。『紹介派遣』のケースは『長期』より少なく、『社員』を目指すには向いていないタイプです。『社員』の場合は転々と移動があったり、稼動日数が少なく月給が低かったり、特別なスキルが必要な業種だったりします。

 このようにただ『派遣社員』といっても、大きなカテゴリーで二つ、『紹介派遣』を含めると4つのタイプが存在し、自分の必要な資金と使えるスケジュールに合わせて構成を組めるのも『派遣社員』の魅力の一つです。

 ただ、闇雲に『長期』に付くのではなく、自分の性格や自分のスキルに合った自分だけのやり方を見つけ出し、『長期』、『短期』を上手に使い分けながらスキルアップや貯金、友達作りなど目的に合わせて切り替えるのが『派遣ライフ』をエンジョイする上では重要だと思います。

 ちなみに私は、まったく社員になる気がないのに『長期』に勤め、勧誘を断っている状態にいました。相手も「社員になりたいのだろう」という先入観もありますから、束縛が嫌いな方や飽きっぽい方は短期の方が良いかもしれません。「せっかく誘っているのに…」と溝を作らないためにも、上手な運用方法を考え、計画的な就業をしましょう。

求人広告の見極め方

◆『派遣会社』の求人広告はここが決め手!

 最近、求人広告や求人誌を見ると『派遣会社』による『派遣社員』の募集がたくさん目に付きます。時給や、月収などの収入面だけみると、条件がかなり良いように見えます。しかし、実際、そういった求人広告は何を見て比較したら良いのでしょうか?

 まず、一番大切なのは収入です。収入面で自分の目的に合った条件を探すのが最初だと思います。収入が足りない仕事は必ず続きません。贅沢な生活を望まなければある程度の条件が求人広告にはあると思いますので、良く吟味して自分の収支バランスから必要な時給、月給を算出してください。

 次に職種です。これも楽しく仕事をする、継続するのに欠かせない条件の一つでしょう。今までに経験している職種で、楽しかったという感想を持っているなら問題なく進めるでしょうし、初めてチャレンジするという職種は少し怖いという印象を持ってしまうでしょう。しかし、自分の性格と適正を良く分析していれば、初めての職種でも楽しくスキルアップすることができます。

 最後に保障制度です。まず、交通費支給の有無、社会保険の有無、有給休暇の有無、公休の有無、残業手当の有無、家族手当の有無、退職金の有無など働くにあたり、保障条件が多ければ多いほど良いでしょう。詳しく書いていないところは、あまりそういった従業員に対する保障制度が充実していないものと考えた方が良いでしょう。

 この3つは、就職活動には必須事項ですので説明する必要もなかったかもしれませんが、続いては『派遣会社』特有の事項をご紹介いたします。『派遣会社』は商品となる人材を手に入れるために、通常の企業より求人活動に力を入れています。ですから、その企業努力を利用させていただきましょう。

 まず、勤務内容の確認が必要です。書いてあるようで書いていない必須残業などが付きやすいので、その辺は確認した方が良いでしょう。それに加えて賃金面も高額表記していますがほとんどが「残業○○hの場合」などと残業有りのものですから、その辺も良く加味してしっかり吟味しましょう。

 それと、勤務地の確認が必要です。『派遣会社』の求人広告では、複数の勤務先例を表記しています。ですので、自分の希望する職種がどのエリアなのかという点は間違いなく把握しましょう。通勤可能なエリアでしたら問題もありませんが、私の経験と周りからの話では、「車で1時間以内」「電車で1時間30分以内」というのが継続して通勤できる距離だと思われます。それ以上になってしまうと心身ともに通勤で疲労してしまい、仕事に身が入らなくなったりしてしまうようです。なるべく近いエリアをオススメいたします。『派遣会社』の場合は寮を完備していることが多いですので、エリアに問わず収入を作りたい方は、格安の寮の利用をオススメいたします。この寮も敷金、礼金などの引越し費用を『派遣会社』が負担してくれることが多いですから、それらを有効利用していただければ快適に勤務できると思います。

 最後に、「入社祝金」や「入社プレゼント」といったものを提示している場合もございます。これは、確かにいただけると思いますがそういったものを出さないと人が来ない、続かない職種であるということは頭に入れてください。例えば、これが欲しくて入社しても1週間持たないようでしたら、また就職活動をしなおさなければいけませんし、スムーズに辞職させてもらえるか分かりません。そう言ったリスクを含んでいる可能性もありますので、自分が続けられそうな職種でこういったイベントを行っているようでしたら、「おまけ」として受け取るくらいのつもりでいましょう。

 さまざまな『派遣会社』が人材集めに必死の今日、貴方の目でそれらの求人条件等をしっかり見定めて、快適な『派遣ライフ』を描いてください。

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